【刑法性犯罪改正が実現】110年ぶりの大改革!今改正の「内容」「評価」「課題」

当プロジェクト構成団体の1つ「NPO法人しあわせなみだ」のブログ・メールマガジンより(引用・加筆)
6月16日の参議院本会議で、刑法性犯罪改正案が可決成立しました!
6月23日に公布、7月13日より施行される見通しです。
性犯罪で「親告罪」規定を撤廃…改正刑法が成立@読売オンライン
同日午前に行われた参議院法務委員会では、当プロジェクトメンバーの性虐待経験者である山本潤が参考人招致され、性暴力の現場の声を届けました。
[参考人質疑の様子] ※左のカレンダーで「6月16日」をクリック、新たに表示される画面で「法務委員会」「2017年6月16日」を選択、「検索」すると、表示されます
2014年秋から続いてきた議論は、ここで1つの区切りとなります。
そこで、今改正の「内容」「評価」「課題」が丸わかり!ポイントをお伝えします。
「内容」
(1)名称の変更
これまでの「強姦罪」という名称を「強制性交等罪」に変更。
(2)範囲と対象の拡大
これまで「女性への性器性交」に限られていた「強姦罪(→今後は強制性交等罪)」を「口腔性交」「肛門性交」まで拡大。「女性」に限られていた被害者を「女性以外」にも拡大。
(3)刑期の引き上げ
これまで「3年以上」だった「強姦罪(→今後は強制性交等罪)」の刑期を「5年以上」に引き上げ、死傷させた場合は「5年以上」から「6年以上」に引き上げ。
(4)監護権に乗じた性犯罪の創設
子どもの養育に責任を持つ親等が、その立場を利用して強姦(→今後は強制性交等)やわいせつをしたことによる罪を創設。
(5)「まず強盗してから強姦」と「まず強姦してから強盗」の量刑を合わせる
これまでは「まず強盗してから強姦」のほうが重かった量刑を「7年以上」に合わせる。
(6)非親告罪化
これまでは被害者が「訴えます」と言わなければ開始できなかった捜査を、検察が発見した時点から開始できる(告訴がなくても起訴できる)。
「評価」
(1)3年後の見直し
改正案とともに可決した「附則」に、状況を踏まえた3年後の見直しが盛り込まれる。
(2)適切な運用に向けた働きかけ
改正案ととものに可決した「附帯決議」に、「関係機関への研修」「裁判時の二次被害の防止」「実態調査」「支援センターの整備推進」等が盛り込まれる。
(3)現場の声
反映改正案審議の過程で行われた「検討会」「法制審議会」「法務委員会」で、性暴力経験者や支援者へのヒアリングが実施され、現場の声が反映される。
「課題」
(1)暴行脅迫要件が残る
被害者が13歳以上の場合、加害者から暴行脅迫があったことが裁判で立証できなければ、これまで同様無罪に。
(2)監護権以外の地位関係性は考慮されない
性犯罪は上下の人間関係に基づき行われますが、「教師から生徒」「上司から部下」「先輩から後輩」といった関係性は、これまで同様考慮されない。
(3)集団強姦罪がなくなる
2人以上で性犯罪を実行した場合の罪として設けられていた「集団強姦罪」が、量刑の都合により削除される。
今回の改正はあくまで「スタート」。
3年後、より性暴力の実態に沿った見直しが実現されるよう、市民レベルでの議論を深めていきましょう!
【もっと知りたい!という方へ】詳細はこちらです。
▼刑法第二十二章 わいせつ、姦淫及び重婚の罪
▼刑法の一部を改正する法律案
▼附則
▼附帯決議(衆議院)
▼性犯罪の罰則に関する検討会(2014年10月~2015年8月)http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00090.html
※ヒアリングは第2・3回で実施
▼「法制審議会-刑事法(性犯罪関係)部会」(2015年11月~2016年6月)http://www.moj.go.jp/shingi1/shingikai_seihan.html
※ヒアリングは第6回で実施
▼参議院法務委員会(動画)
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php
※左のカレンダーで「6月16日」をクリック、新たに表示される画面で「法務委員会」「2017年6月16日」を選択、「検索」すると、表示されます
<法務委員会ならびに改正後に開催した記者会見が、多くのメディアに紹介されました!>

■「性犯罪厳罰化 改正刑法が成立」@NHKニュース ■“性犯罪”刑法改正も 「課題はまだ残されている」@テレビ朝日 ■『性犯罪撲滅へ「大きな一歩」被害者、法改正喜ぶ』@朝日新聞 ※会員登録で全文ご覧いただけます ■「性犯罪厳罰化 告訴不要 評価の声」@読売新聞(プレミア会員登録で全文ご覧いただけます)
その他、メディア掲載報告は、順次こちらでしていきます。