メディア掲載:東京新聞「「性犯罪の厳罰化」今国会提出へ 性暴力の実態とは隔たり」

東京新聞が「刑法性犯罪を変えよう!プロジェクト」の取り組みについて言及してくれました!
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以下、記事本文です。
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政府は、性犯罪に対する罰則を強化する刑法改正案の今国会提出・成立を目指している。処罰対象や法定刑の拡大が盛り込まれる見通しで、成立すれば犯罪抑止へ一歩前進となる。性暴力に苦しんだ女性らは「実態とはまだ乖離(かいり)がある」と一層の見直しを求めている。 (北條香子)
性犯罪は一九〇七年の刑法制定以来、大きな改正が行われておらず、厳罰化を求める声が出ていた。
改正案要綱では、「女子を姦淫(かんいん)」する場合を対象とした現行の強姦(ごうかん)罪を改め、被害者が男性の場合や性交の類似行為も対象とし、罪名を「強制性交等罪」に変更。法定刑の下限を懲役三年から五年に上げる。
また、強制わいせつ罪などを含め、被害者の告訴がないと起訴できない「親告罪」規定を外す。親などが影響力を利用し、十八歳未満と性交した場合の処罰規定も新設する。
性暴力被害者の自助グループなど四団体でつくる「刑法性犯罪を変えよう!プロジェクト」は今国会での改正を期待し、国会議員へのロビー活動や街頭活動に取り組む一方、改正案は不十分と問題視している。
具体的には、現行法の「暴行脅迫要件」が残っていることだ。この要件は「相手の抵抗を著しく困難にするほどの暴行や脅迫」を用いた場合に限って処罰できると解釈される規定。立証が難しく、被害者が泣き寝入りするケースが度々指摘されてきた。
プロジェクトが典型例に挙げるのは、女子中学生に対する強姦罪に問われた二十代男性に対し、大阪地裁が二〇〇八年に「抵抗できないほどの暴行や脅迫はなかった」と無罪を言い渡した裁判。メンバーは「中学生が大人の男性に迫られたら怖くて抵抗できない」と指摘。被害者が命まで奪われないよう抵抗しないことや、体が固まってしまうこともよくあるという。
プロジェクトは「だまされてホテルに連れ込まれた」「上司に無理やり」など、同意のない六つのケースについて「性暴力と思うか」と尋ねるアンケートを実施。今年一月時点の集計(二千六百人余りが回答)では、いずれも九割以上が「性暴力だ」と回答した。
上司から性暴力を受けた経験があるメンバーは「自分が悪いと長年思っていたが、国際的には対等な関係での同意がなければ性暴力になると知った。立ち上がって変えていかなければいけない」と力を込める。
■刑法改正案のポイント
・強姦(ごうかん)罪を「強制性交等罪」に改め、被害者を「女子」以外にも拡大。「姦淫(かんいん)」だけでなく類似行為も処罰対象に
・同罪の法定刑下限を懲役3年から5年、同罪に関する致死傷罪は懲役5年から6年に引き上げ
・同罪や強制わいせつ罪などを非親告罪に改め、被害者の告訴不要に
・監護者が影響力に乗じて、18歳未満にわいせつ行為や性交をした場合の処罰規定を新設
・現行法では強姦と強盗を同時に犯した場合、どちらが先かで刑罰の重さが異なるのを、順番は関係なく「無期または7年以上の懲役」に統一